誰かが私に嫉妬して罵倒し、侮辱するなどひどい目にあわせても負けは自分が引き受けて勝利を他者に譲ることができますように ここで述べられているのは、他の人たちが特に何の理由もなく、不当にもあなたを挑発してくる時、それに対して否定的な反応をするのではなく、本物の利他行の修行者としてその人に寛容さを示し、忍耐強く対処するべきだということです。そのような扱いを受けた...
第七偈には、今まで私たちが議論してきたすべての修行の要約が述べられています。 要約すると、直接的にも間接的にも母なるすべて〔の有情たち〕に利益と幸せを捧げ母〔なるすべての有情たち〕の被害と苦しみをみなひそかに私が引き受けられますように この偈では、「トンレン」と呼ばれる仏教の特別な修行が提示されています。この修行は、「自分の幸せを他者に与え(トン)、他者...
最後の第八偈には、このように述べられています。 これらのすべて〔の修行〕が世俗の八つの思惑に汚されることなくすべての現象は幻のごときものと知って執着を離れ、束縛から解放されますように この偈の最初の二行は、本物の修行者にとって大変重要な点です。「世俗の八つの思惑」とは、一般的に見て私たちの人生を支配する傾向のある態度のことです。それらの態度とは、誰かに称...
『心を訓練する八つの教え』に述べられている精神修行の理想を称讃する気持ちを持っているならば、菩提心を生起するために次の偈を唱えるとよいでしょう。仏教の修行を実践する人たちは、利他心と慈悲の心を高めようとする時、この偈を唱えてその意味を思い起こすことが大切です。仏教以外の他の宗教を信仰している人たちは、その宗教の教えに従って、利他の目的を達成するために利他心を...
ダライ・ラマ1世(ゲンドゥン・トゥプ) ダライ・ラマ1世であるゲンドゥン・トゥプは、1391年、中央チベットのツァン地方、サキャ近くで、遊牧民であるゴンポ・ドルジェとジョモ・ナムカ・キの子ペマ・ドルジェとして生まれた。ギャトン・ツェンダ・パラからチベット語の読み書きの基礎教育を受けた後、14歳のときに、ナルタン僧院の僧院長だったケンチェン・トゥプ・シェ...
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2025年6月30日・7月5日・6日 インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラのツクラカンで、ダライ・ラマ法王90歳の誕生日を祝う式典と長寿祈願法要が行われる。 ネット中継は、日本語および、チベット語、 英語、 中国語、 ヒンディー語、 ラダック語、 ネパール語、 ベトナム語、 インドネシア語(7月5-6日)、 韓国語、 ...
2011年11月30日 インド、ニューデリー [全アジア仏教国僧院のシニアメンバーをはじめとする聴衆に向けた演説]文字起こし:ダイアナ・イレス、編集:ルーク・ロバーツ、アレクサンダー・ベルゼン 敬愛なる仏教徒の兄弟姉妹の皆様、そしてここにお集まりのすべての皆様ひとりの僧侶として、これは実に感動的な非常に嬉しい瞬間です。いつものことですが、最後に話...
ダライ・ラマ14世 テンジン・ギャツォ 人生の目的とは?私たちが意識的、無意識的に考えていようといまいと、ひとつの大きな疑問が毎日の生活の中に潜んでいます。それは、人生の目的とは何か、ということです。私はこの疑問について、いろいろと考えてきました。そこで、私の考えに触れた人々が、そこに何か直接的、実際的に有益なものを引き出して下さればという願いから...
私たちが承知しているように、平和が、そして地球上の生命の存続が、人道的価値への取り組みに欠けた人間の活動によって脅かされています。環境破壊や自然資源の破壊の原因は、無知や欲望、地球上の生きとし生けるものたちへの敬意が欠けていることにあります。 このような敬意の欠如は、地球に暮らす人類の子孫にまで影響を及ぼします。平和が現実とならず、さらには環境破壊が現在の...
1993年4月 ワシントンD.C. 人々は数千年にわたり、厳格な規律手法を用いた権威主義的組織だけが人間社会を統治できると信じ込まされて来ました。しかし、人間には生まれつき自由を願う性質があります。ですから自由を求める勢力と抑圧する勢力は、歴史上ずっと戦いを続けてきました。今日どちらが勝利を収めつつあるかは明らかです。左右の独裁体制を打倒して人民が権力を奪...
ダライ・ラマ14世 テンジン・ギャツォ 以下は、2005年11月12日にワシントンDCで開催された神経科学学会の年次総会でダライ・ラマ法王が行なわれた講演に基づいてまとめられた。 この数十年の飛躍的な進歩は、人間の脳と人間のからだをひとつの全体として科学的に理解するようになったことです。さらには新たな遺伝学の出現にともない、神経科学者たちの知...
2006年3月27日、ダラムサラで行われた大祈願祭(モンラム)の法話が終わった後、チベット本土から来訪した多数のチベット人たちにダライ・ラマ法王はいくつかの論点を熱心に語られた。その一つは、チベット人、そして仏教徒は仏教の教育、普及、実践において質を最重要視するべきであるという内容であった。以下はその概要を編集者が英訳したものである。 知識という基準で私た...
もし教育と報道に特別な責任がある分野があるなら、それは我々の自然環境だと私は信じています。この責任とは、正しいか間違っているかという問題ではなく、生き残れるかどうかということに関係しています。自然界は我々の家です。かならずしも畏怖すべきものや神聖なものではありません。単に我々が住む場所です。 そのため、私たちは自然を大切にしなければなりません。これは常...
今宵は、仏教では自然がどう捉えられているかお話しましょう。 ナーガールジュナ(龍樹)は、実体の無い空(くう)が可能な体系においては、あらゆる働きもまた可能であり、働きが可能であるがゆえに、空もまた可能である、と説いています。ですから、自然とは何かといえば、自然は究極、空です。では、空とは、サンスクリット語で言うシュニヤーターとは、何のことでしょう。...
よくチベットでは、山には神々が住んでいると思われています。例えば、アムニェ・マチェンというチベット北東部にある山には、私の故郷アムド地方で最も大切な神様の一人マチェン・ポムラが住んでいると信じられています。アムド地方の人は皆マチェン・ポムラを自分達の特別な友人のように思っていて、多くの人がその山の麓を巡る巡礼に行きます。 一般にチベット人は、まわりにある高...
20世紀の幕切れが近づくにつれ、世界はいよいよ小さくなってきました。今や世界中の人々は、ほとんど単一のコミュニティーに属しているようなものです。政治的、軍事的な同盟関係が、大規模な多国間の集団を形成し、産業と国際貿易が、全世界規模の経済を育ててきました。距離的な隔たり、言語や民族の壁といった昔ながらの障害は、世界的なコミュニケーションの発達につれて、影が薄く...
環境変化の科学的な予測を普通の人間が完全に理解するのは難しいことです。気温上昇、海面上昇、がん発生率の上昇、とてつもない人口増加、資源の枯渇や種の絶滅などについて耳にすることがあります。すべての生き物が依存する自然生態系の重要な要素の破壊が、人間の活動によって早まっています。 これらの脅威的な発展は個々でも劇的であり、同時に驚くべきものです。世界人口は今世...
少年だった頃、私は仏教の勉強を通して、環境に対して思いやりを持って接することの大切さを教わりました。仏教徒が実践している非暴力の教えは、人間のみならず、一切有情――心を有する生きとし生けるすべてのもの――を対象としています。心があるところには、苦痛やよろこび、うれしさといった感情があります。有情はみな、苦しみを望んでいません。幸せを望んでいるのです。私は、一...
信仰の自由国際協会(IARF)ラダック・グループによって準備された、共存と世界平和・異なる宗教間の調和の維持に関するこのインターフェース・セミナーに出席することを、私は大変嬉しく思います。協会の歴史、活動、目的、そして今世紀においての適合性について、詳細な説明を本当に有難うございました。講演者が既に述べられたことについて、私は何も付け足すことがありません。し...
私は、世界人権宣言採択・署名50周年を世界規模で記念することを知り、大変勇気づけられました。また、国連人権高等弁務官事務所が、一般の人々がその権利を十分理解することができるように、世界人権宣言を世界中で調査し普及することを目指していることを知り、とても喜んでいます。 人権は普遍的な重要性を持っています。なぜなら、自由、平等、尊厳を望むことは人間本来の性質で...
もちろん、戦争と巨大軍事組織が世界で起きている暴力の最大なる源です。その目的が攻撃的か防御的かにかかわらず、これらの巨大組織は人を殺すだけのために存在しています。我々は、戦争の現実性を注意深く考えるべきです。我々の多くは、戦闘は刺激的かつ魅力的なものであり、男性が彼らの能力と勇気を証明するための機会であると考えるような状態にされています。軍隊は合法であるため...
1993年4月 ワシントンD.C. 1. 人々は数千年にわたり、厳格な規律手法を用いた権威主義的組織だけが人間社会を統治できると信じ込まされて来ました。しかし、人間には生まれつき自由を願う性質があります。ですから自由を求める勢力と抑圧する勢力は、歴史上ずっと戦いを続けてきました。今日どちらが勝利を収めつつあるかは明らかです。左右の独裁体制を打倒して人民が権...
朝に目覚めてラジオを聞き、新聞を読むならば、暴力、犯罪、戦争、災害といった悲しいニュースに必ず接する毎日です。どこかで起こる何か恐ろしい出来事の報道がない日など一日も思い起こせません。今日のように近代化された時代であろうとも、人々の尊い命が安全であるといえないことは、明らかです。過去のいかなる時代といえども、今日の私たちほど、多くの悲しいニュースに接した経験...
はじめに チベット内外のチベット人をはじめとするチベット仏教の追随者である僧俗すべて、ならびにチベットおよびチベット人に関わりのあるすべての方々に申し上げます。雪の国チベットでは、過去に出現した王、大臣、学者、成就者たちの恩を受け、三乗(声聞・独覚・菩薩)および四部タントラ(作・行・瑜伽・無上瑜伽)に集約される完全なる仏勝者のお言葉と思想からなる教説と...