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伊勢神宮で参拝されるダライ・ラマ法王。2007年11月18日、三重県伊勢市(撮影:テンジン・ダセル、Phayul.com) |
三重県 伊勢市
ダライ・ラマ法王は今朝、三重県伊勢市にある伊勢神社を参拝された。法王は、世界各地の聖地を訪れて異宗教間の調和を促進することを自身の務めとしておられることから、今回もその一環として訪問されている。
法王は皇大神宮(内宮)に到着されると、和田宮司にエスコートされながら正宮へと向かわれた。途中、五十鈴川でご自身の手を洗い清められると、巨木がそびえ、いくつもの社が並ぶ境内の奥へとさらに歩を進められた。
正宮に着かれると、法王は日本のしきたりに従って礼拝を行なわれた。
法王は昨日、皇學館大學で開催される伊勢国際宗教フォーラムに参加するにあたって記者会見を行なわれた。その席で法王は、異宗教間の調和を促進することは人生における主要な務めのひとつであるとして、「私はどこへ行っても、時間が許す限り、あらゆる伝統宗教の聖地を巡礼するようにしています」と述べられた。
法王の伊勢神宮参拝の後、和田宮司は次のように語った。「ダライ・ラマ法王が初めて伊勢神宮を参拝されたのは2003年のことです。そのときに、20年ごとに神様の社殿を新たな場所に建て替えるという「遷宮」についてご説明したところ、伊勢神宮独自の精神文化に大変感銘を受けてくださいました。そして、また参拝したいとおっしゃってくださったのですが、それが今日、実現したのです。」
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伊勢国際宗教フォーラム設立大会で異宗教間の調和について語られるダライ・ラマ法王。三重県伊勢市、皇學館大學(撮影:テンジン・ダセル、Phayul.com) |
午後、法王は皇學館大學のメインホールで行なわれた伊勢国際宗教フォーラムに参加され、「異宗教間の調和」について基調講演を行なわれた。さらに、神道、仏教、修験道の代表者がパネリストとして意見交換を行ない、会場を埋めた大勢の聴衆がこれを清聴した。
法王は、異宗教間の調和の大切さを強調して、次のように述べられた。
「異なる宗教を信心する者同士が、互いの宗教を理解し合い、協調性を高めていくことは、きわめて重要なことです。」
「信仰はときに問題や分裂を引き起こすこともありますが、そのような問題は理解不足が原因で起こります。しかし、あらゆる宗教が、「愛」と「思いやり」という普遍的なメッセージを伝えていることにおいては同じなのです。」
また法王は、パネルディスカッションのなかで、「異なる宗教を信心する者同士がもっと話し合い、宗教間の相違点をすべて明らかにしていく必要があります。そうすることで知識が広がり、新たな考え方ができるようになるのですから、これは長い目で見ても人類の向上に役立つのではないでしょうか。」
「人類がさまざまな価値観や思想を育むには、さまざまなアプローチが必要です。」
また、「人類が幸せなら、私はこの上なく幸せです。しかし人類が幸せでなければ、私も幸せではありませんし、同じように苦しいのです」とご自身のことを例に挙げてから、「未来の暮らしの責任は、私たち自身にあります。これは確かなことなのですから、これについてもっとよく考えなければなりません」と述べられた。
明朝、法王は横浜に向けて出発される。横浜では複数の学校を訪問されるほか、11月20日には約5000人の聴衆に向けて講演を行なわれる。 |