賞金の一部は、世界各地の飢餓に苦しむ人々のために寄付します。また、その一部をインドのハンセン病プログラムおよび平和活動に従事する団体・プロジェクトのために役立てます。そして最後に、賞金の一部を「普遍的責任のためのチベット民族基金(Tibetan Foundation for Universal Responsibility)」の設立資金に当てようと思います。
この新しい基金は、世界中の人々のためのさまざまなプロジェクトを、チベット仏教の原則に則って遂行するためのものです。特に、非暴力の活動の援助、宗教と科学間のコミュニケーションの向上、人権や民主的自由の保護、そして母なる地球の保護・再生に重点を置くものです。
基金の名称に敢えて“Tibetan”という言葉を入れたのは、自国のためだけでなく世界中の人のためによいこと、助けになることをしようというチベット民族の心を反映する真の意味での初めての基金になるからです。
以前のチベットは孤立しすぎていました。これからのチベットは、世界中で助けを必要とする人たちのために、私たちがもつ心理的・宗教的・哲学的専門知識を駆使して積極的に活動していきます。もちろん、多くの個人・基金・政府が既にそれらの分野で活動していますし、地球上の危機が明らかになり、かつ拡大するにつれて、さらに多くの人たちがその活動に加わるでしょう。しかし、私たちチベット民族がもつ宗教性と実践的一面のコンビネーションによって、わずかでも特別な貢献ができると信じています。この基金が始動し、自由な国チベットが世界のためにできることを示すことができる日が来ることを私たちは願っています。
1989年12月10日 ノルウェー、オスロ