新幹線ホームのダライ・ラマ法王
愛知県に移動される4月7日の朝、ダライ・ラマ法王はJR東京駅から「のぞみ」に搭乗されるため、新幹線ホームの待合室に向かわれた。(撮影:テンジン・ジグメ)
ホームを行き交う人々を眺めて楽しそうな表情の法王に、遠慮がちにちらちらとのぞき込む一般の人々。(撮影:テンジン・ジグメ)
外国人観光客が気後れせずに写真をねだると、法王は気さくに応じられた。その様子を見た日本人も次々に近寄り、待合室前はまるで記念スナップ撮影会のようになった。(撮影:テンジン・ジグメ)
随行通訳のマリア・リンチェンさんが訳した最新刊『ダライ・ラマ 菩提心の解説』(大蔵出版)を手に取られるダライ・ラマ法王(撮影:テンジン・ジグメ)
古いお写真と古いご友人
ダライ・ラマ法王は愛知学院大学で、仏教伝道協会元事務局長の高瀬武三氏(81歳)=福厳寺第30世住職=と再会された。高瀬氏は、法王が1967年に初めての外遊で日本を訪問された時の受け入れ関係者である。当時の写真アルバムを手に取られた法王は「もしかして、これがあなた?」と若き日の高瀬氏を探し出し、「私は48年前にも今の面影がありますが、あなたはまったく違いますね」と大笑いされた。高瀬氏が「昔の写真をぜひ見ていただきたかった」と懐かしむと、法王はしみじみと「今は亡き兄(タクツェル・リンポチェ)も写っていますね。まだ生きている人は少ない……」と偲ばれた。(撮影:テンジン・ジグメ)
1967年、仏教伝道協会と読売新聞社の招聘で法王は初めて来日されている。東京、大阪、静岡で「チベット秘宝展」が開かれ、法王が1959年の亡命時にラサから携えられたタンカ(チベット仏画)や仏具を海外初公開として紹介した。(撮影:テンジン・ジグメ)
「若い人の力で未来を変えて」ー 愛知の大学で
愛知県日進市の愛知学院大学をご訪問されたダライ・ラマ法王は、学生ら約2400人(サテライト会場含む)に向けて講演をされた。桜の花が咲き競う大学キャンパスをゆっくりと歩まれ、手を振る女子大生に声を掛けて一緒に記念写真に収まる一幕も。(撮影:テンジン・ジグメ)
ジャーナリストの池上彰氏とともに壇上に座られたダライ・ラマ法王は、池上氏の「祖国を失い大変な苦労をされたにもかかわらず楽観的でいられるのは」との質問に「国を失うことなくラサに居続けたなら、こうしてあなたがたと出会うこともできずポタラ宮殿にこもりっぱなしだったかもしれない。難民となって外に出たために世界中の人々と出会い、仏教を広めることができました」と答えられた。そして学生たちに向けて、「過去は変えられませんが、未来は若い人の力でどのようにも変えられます。人類全体の幸せを考えてください」と、広い視野を持つよう呼び掛けられた。(撮影:テンジン・ジグメ)
会場の聴衆は熱心に耳を傾け、オーストラリア人参加者のひとりは座席から立ち上がって「ヨーッ、ダライ・ラマー!」と歌舞伎の大向うのような掛け声を飛ばしていた。(撮影:テンジン・ジグメ)