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『菩提心の解説』と『菩提道灯論』の法話 2016年8月10日

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インド、ジャンムー・カシミール州ラダック地方 ティクセ

今朝、法王はティクセ僧院の下方に設営された法話会場に向かわれた。道中、法王は、法王のお姿をひと目見ようと集まっていた地元の人々に挨拶をされた。そして法座に着かれると、聴衆に向けて次のように述べられた。

「法話をするとき、私はいつも二つの段階に分けてお話ししています。最初に一般的な仏教概論について説明し、次に教えの実践方法を説明するようにしています。今日は、偉大なる導師聖ナーガールジュナ(龍樹)が著された『菩提心の解説』を最初に説き、次にアティーシャの『菩提道灯論』を説くつもりです」


ティクセ僧院の下方に設けられたダライ・ラマ法王の法話会場の情景。2016年8月10日、インド、ジャンムー・カシミール州ラダック地方(撮影:テンジン・チュンジョル、法王庁)

法王は、今日皆さんがこの場に集まったのは、観劇のためでも真言を唱えて祈りを捧げるためでもない、と聴衆を諭されて、次のように述べられた。

「皆さんは法話を聴くためにここに集まったのですから、『仏法』とは、仏陀の教えを実践することによって心をより良く変容させることを意味する、ということをよく理解しておく必要があります。昨日、イスラム教徒の方々も指摘されたことですが、ただ神仏に祈願するだけでは、心をより良く変容させることはできません。心の変容は、教えを自ら実践することによってはじめて起きてくるのです。私たちが抱えている問題の根本的な原因は、煩悩(悪しき感情)にあります。私たちのだれもが幸せを望み、苦しみを避けたいと願っているのですから、この二つの願望を実現するには何を捨て、何を育まねばならないのかを知る必要があります。心に変容をもたらすには教えと心をひとつにしなければなりませんが、そのためには必要な教えを聴き、勉強しなければなりません。では始めに、三宝への帰依と菩提心生起の偈を唱えましょう。

  • すべての有情を救済しようという願いによって
  • 仏陀、仏法、僧伽に
  • 悟りの心髄に至るまで
  • 常に私は帰依いたします
  • 智慧と慈悲をもって精進し
  • 有情を利益するために
  • 私は仏陀の御前に
  • 完全なる悟りを得るために菩提心を生起いたします

法王は、「法話を聴くときは正しい動機を持つことが大切である」と述べられ、現代社会を生きている仏教徒は21世紀の仏教徒であらねばならないことを強調された。つまりこれは、急速に発展した物質社会においても、仏陀の教えを理解する価値があることを意味している。



2日間にわたる法話の初日、説法を行なわれるダライ・ラマ法王。2016年8月11日、インド、ジャンムー・カシミール州ラダック地方(撮影:テンジン・チュンジョル、法王庁)
法王は、『菩提心の解説』を読み始められるにあたり、このテキストの解説の口頭伝授の系譜は特に受け継いでいないことを明らかにされた。しかしながら法王は、師が弟子に読んで聞かせる口頭伝授の系譜を現ゲルク派の管長であるキャブジェ・リゾン・リンポチェから授かっておられる。法王は、このように貴重なテキストでありながら、手に取って読まれるよりも崇敬の対象として仏壇に飾られるほうが多いことはじつに残念である、と述べられた。法王は、ご自身がこのテキストを説くことができるように、それによって多くの人々がこのテキストを読むことができるようにと考えてリゾン・リンポチェに伝授をお願いされたのである。

また法王は、一部の学者たちが、ブッダパーリタ(仏護)やバーヴァヴィヴェーカ(清弁)、チャンドラキールティ(月称)といったナーガールジュナの弟子たちが、それぞれの著作の中でこのテキストに言及していないことを理由に挙げて、このテキストはナーガールジュナの著作ではないのではないかという疑問を提示していることに触れられた。しかし、チャンドラキールティは『灯作明』の中で、『秘密集会』タントラ(グヒヤサマージャタントラ)の究竟次第の観点から、このテキストに引用されている大日如来のお言葉(「菩提心句」)について言及し、解説されていることを法王は明らかにされた。

法王は、「六種の解釈」と「四種の分類」と言われるインドの伝統的なタントラの解釈方法に基づいて、大日如来のお言葉を説明された。しかしながら、ナーガールジュナはこのテキストでは、対象物を見る主体者の意識、つまり光明の心というタントラ(密教)に基づく理解には触れておらず、対象物の空、言い換えれば、中観帰謬論証派の見解というスートラ(顕教)に基づく空の理解について述べられているのみである。

法王は、『菩提心の解説』の偈頌をほぼすべて読み通されると、ナーガールジュナが読み解かれる「究極の菩提心」の原典である大日如来のお言葉の解説に入られた。このお言葉は、無上ヨーガタントラに属する『秘密集会』(グヒヤサマージャ)の根本タントラ第二章の中にあり、次のように述べられている。

  • 「すべての現象〔の真実成立〕を離れ
  • 〔五〕蘊・〔十八〕界・〔十二〕処の
  • 主体と客体〔の真実成立〕をすべて捨て
  • 〔すべての〕現象の無我はみな同じなので
  • 我が心は無始の時より不生であり
  • 空の本質を持つものである」
  • と、このように言われた。



ステージ後方から見たダライ・ラマ法王と会場の情景。2016年8月10日、インド、ジャンムー・カシミール州ラダック地方(撮影:テンジン・チュンジョル、法王庁)
法王は、この偈頌により、仏教の各哲学学派が自派の見解に基づいて下のレベルの学派の見解を否定することにより、より高いレベルの見解に導いていることを説明された。
一行目にある「すべての現象〔の真実成立〕を離れ」という最初のお言葉では、「五蘊とは別個に、永遠で、単一で(=部分を持たず)、自在なる力を持つ(=他に依存しない)自我が、独立自存の実体を持って存在する」という非仏教徒たちの見解が、説一切有部と経量部(小乗の哲学学派)の見解に基づく空によって否定されている。このような間違った自我に対するとらわれは、生まれつきのものではなく、哲学的見解を通して後天的に備わったものである。

二行目と三行目に述べられている、「〔五〕蘊・〔十八〕界・〔十二〕処の主体と客体〔の真実成立〕をすべて捨て」というお言葉では、「分割不可能な微粒子の集積である五蘊、十八界、十二処に依存して自我は存在している」という説一切有部と経量部の見解が、唯識派の見解に基づく空によって否定されている。外界の対象物(客体)は、内なる意識(主体)と別個の本質を持って成立しているのではなく、単なる意識の反映として現れているだけなので、外部対象は意識と同じ本質を持って成立している、というのが唯識派の自我に関する見解である。
このように、「主体と客体は別個の実体であることに関して空である」(主体と客体は同じ本質を持って成立している)というのが唯識派の見解であるが、唯識派は、「外界の対象物は真実の成立として実体を持って存在しているのではなく、内なる意識の本質として成立しているだけであるが、意識は実体のある真実の成立である」と主張している。

しかしながら、「意識は真実の成立である」という唯識派の主張に対し、中観派は、「〔すべての〕現象の無我はみな同じなので」と述べることによって、外界の対象物が真実の成立ではないのと同じように、主体である意識も真実の成立ではなく、空の本質を持つものであることを説いている。したがって、「我が心は無始の時より不生であり」と言われている部分では、中観派の見解が述べられているのであり、意識には始まりも終わりもなく、意識も条件に依存して存在していることから、それ自体の側からの自性による成立はない、ということを、「空の本質を持つものである」という言葉で説かれているのである。



法話中、ダライ・ラマ法王が読み進められるテキストを目で追うチベット人僧侶たち。2016年8月10日、インド、ジャンムー・カシミール州ラダック地方(撮影:テンジン・チュンジョル、法王庁)
法王は、このような唯識派の見解が、中観派の見解に基づく空によって否定されていることについて、「それ自体の力で成立している物質は存在しない」という量子物理学の見解に言及された。さらに法王は、「観測者がいるかぎり対象は存在する。しかし、観測者がいなければ、対象が存在すると言うことはできない」という量子物理学者の言葉を引用された。これは、「主体(意識)と客体(対象物)が別個の実体を持つことに関する空」(主体と客体は同じ本質であり、意識と別の本質を持つ外界の対象物は存在しないが、意識は真実成立である)という唯識派の見解を、中観派の見解に基づく空によって否定することと大変よく似ている。

中観派の中でも、瑜伽行中観自立論証派と経量行中観自立論証派はともに、外界の対象物の現われを認識する意識と内なる主体者の意識自体を認識する意識(自証分)があると主張しているが、この主張は中観帰謬論証派によって完全に論破されている。中観帰謬論証派は、現われという世俗のレベルにおいても、空という究極のレベルと同じように自性による成立は存在しない、という見解を主張している。実体を持つ自我が存在するという誤った認識(妄分別)がわずかでも残っている限り、煩悩を滅することはできないのである。そして煩悩に犯されている限り、私たちはこの輪廻に繰り返し生まれ変わらなければならない。すべての現象には実体があるというこの妄分別が、輪廻を生み出す源となっているのである。

法王は、このテキストの主題は「世俗の菩提心」と「究極の菩提心」を生起させることにある、と述べられた。そして、この二つの菩提心を日々育み続けないことには、仏教の修行も本尊ヨーガも無意味になってしまうことを強調された。菩提心が修行の主体であるならば、あらゆる障りが滅せられ、すべての福徳を得ることができるのである。仏陀の境地に至りたいならば、菩提心と空の理解を結び合わせて修行しなければならない。菩提心という利他の心がなければ、声聞乗の修行に入ることはできたとしても、菩薩の修行に入ることはできないのである。



ダライ・ラマ法王の法話会が行われる中、聴衆に配るお茶を持って急ぐ僧侶とボランティアの人々。2016年8月10日、インド、ジャンムー・カシミール州ラダック地方(撮影:テンジン・チュンジョル、法王庁)
法王は、『菩提心の解説』を読み終えられると、アティーシャの『菩提道灯論』の法話に入られた。そして、11世紀にインドからアティーシャを招聘し、チベットに仏教を確立した古代チベットのイェシェー・ウー王とその甥チャンチュプ・ウー王の末裔たちが耐えてきた苦難について語られた。すべてのチベット人を利益するために教えを説いてほしいというチャンチュプ・ウー王の請願に応えて、アティーシャは『菩提道灯論』を著されたのである。

その後、チベット仏教の全宗派が、この『菩提道灯論』の体系に従ってテキストを編纂してきた。ニンマ派では、ロンチェン・ラブジャムパの『大究竟禅定安息論』が、カギュ派においてはガンポパの『菩提道次第・解脱荘厳』が、サキャ派においては『三現分』などが編纂されてきたのである。ジェ・ツォンカパの『菩提道次第広論』、『菩提道次第略論』は、アティーシャの『菩提道灯論』の路線を引き継いだものであるが、『広論』と『略論』には「観(鋭い洞察力)」についても詳しく述べられている。法王は、ツォンカパが中観派の「空」の見解について説かれた五大テキストを隅々まで勉強するよう聴衆を励まされた。そのテキストとは、『菩提道次第広論』と『菩提道次第略論』に記されている「観(鋭い洞察力)」の章、ナーガールジュナの『根本中論偈』の注釈書である『正理大海』、チャンドラキールティの『入中論』の注釈書であるジェ・ツォンカパの『中観密意解明』、同じくジェ・ツォンカパの『了義未了義善説心髄』である。

法王は、『菩提道灯論』の最初から、中士(中級者)のための修行道に関する最後の偈まで読まれると、法話の続きは明日、参加者への長寿の灌頂授与と法王に捧げるご長寿祈願の儀式の前に行なわれることを告知された。
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