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ダライ・ラマ法王、メイヨークリニックで「医療における思いやり」についてご講演 2016年2月29日

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アメリカ、ミネソタ州 ロチェスター

閏日の今日、ダライ・ラマ法王は昼食後に講演会場へ向かわれた。車を降りてメイヨークリニック内の小さな礼拝堂に向かって歩かれるとき、風は冷たかったが空は明るく晴れ渡っていた。抽選で席を獲得した500名は、法王が礼拝堂に入られ、笑顔で握手を交わされながら側廊を歩まれるお姿を見守った。


メイヨークリニック内の礼拝堂に到着され、聴衆と挨拶を交わされるダライ・ラマ法王。2016年2月29日、アメリカ、ミネソタ州ロチェスター(撮影:ジェレミーラッセル、法王庁)
メイヨークリニックの院長で最高経営責任者のジョン・H・ノーズワーシー氏が法王の紹介をし、「医療における思いやり」についてお話をしてくださるようにお願いすると、法王は、ノーズワーシー氏に隣に座るよう強く勧められた。講演の模様は、メイヨークリニックの院内ネットワークとインターネットを介して世界中に同時中継された。
「兄弟姉妹の皆さん、病院のお仕事に懸命に励んでおられる皆さんにお話をする機会をいただき、大変光栄に思います」と法王は述べられると、次のように語られた。

「皆さんは、希望を胸にやってくる何十万もの患者さんの処置を行なわれ、その希望を適えてくださっています。身体的、精神的に苦しむ人々のお世話をするのは大変なことだと思います。私は高齢患者ということもあり、1か月以上もこちらでお世話になっていますが、医師の皆さんも、看護師の皆さんも、技師の皆さんも、大変親切にしてくださっています。皆さんは専門技術だけでなく、やさしさや思いやり、あたたかい心を持った方々です。ですから私は、今日こうして皆さんにお話しできることを光栄に思います」
法王は、「宗教的信仰というものは、困難に直面している人々にとって心の拠りどころであり続けてきた」と述べられた。信仰は、死にゆく人々にさえ希望や前向きな考えをもたらしてくれる。法王は、「形式張っている時間はないので」と前置きをされると、「私たちはみな人間であるという点で同じなのだから、互いのことを兄弟姉妹と考える必要がある」と述べられた。

「ひとりの人間として基本的に同じ立場にあるという見かたに対して、人種や国籍や宗教の違い、お金持ちか貧乏か、学歴があるかないか、というのは二次的な違いに過ぎません。それにもかかわらず、二次的な違いを重視するがゆえに不和が生まれます。根本的なレベルでは、私たちはみな同じです。今生きている70億の人間がみな基本的に同じであるということを重視するなら、私たちが抱えている問題の多くを削減することができるのです。これが、私が“兄弟姉妹の皆さん”とお呼びかけする理由です」

「仮に私が皆さんとの違いに目を向けたとしましょう。私はアジア人で、仏教僧で、チベット人で、さらに私はダライ・ラマ法王だ、などと考えたとしたら、皆さんとの間に垣根が生まれ、私はひとりぼっちになってしまうでしょう。逆に、私は人間として聴衆席の皆さんとまったく同じである、と考えていれば、垣根はありません。昨今の世界情勢においては、70億の人間すべてが人類というひとつの家族である、ということを忘れないでいることがきわめて重要であると思います。またこれが、人間同士の調和を確保していくための方法でもあるのです。しかしそれには、このような現実をもっと知ってもらえるように努力しなければなりません」

「こちらの病院で医療に携わっておられる皆さんは、助けを必要としている患者さんに対して最初に出身国や信心している宗教を訊ねることはありません。どこの具合が悪いのか、どのような処置をすれば助けることができるのか、ということをまず考えるはずです。そのような偏見のない姿勢を、私たちすべての人間関係に取り入れるならば、だれにとっても恩恵となるでしょう。慈悲とは、他者のことを気遣い、思いやることを意味します。皆さんが患者さんのことを気遣い、思いやりを示されることで、患者さんの家族や友人もまた恩恵を得ることができるのです」

「では、今から皆さんのお話をお聞きしたいと思いますので、質疑応答に入りましょう。ご意見はもちろん、批判も大歓迎です。厳しい意見こそ学ぶことが多い、と私は考えているのです」


キャシー・ヴュルツァー氏の司会で聴衆の質問に答えられるダライ・ラマ法王。2016年2月29日、アメリカ、ミネソタ州ロチェスター(撮影:ジェレミーラッセル、法王庁)
地元のテレビ・ラジオ局の司会者キャシー・ヴュルツァー氏が法王の隣に座り、聴衆からの質問を紹介した。最初の質問は、どうすれば他者のことをもっと尊重できるか、という内容だった。法王は、「私たちのだれもが同じようにお母さんのお腹の中で育ちます」と述べられた。新生児と母親もおのずと互いを必要としている。これは私たちのだれもが同じである。また、幸せに暮らしたいと望んでいることも、私たちのだれもが同じである。このような考えかたを土台とするならば、私たちは他者をもっと尊重できるだろう。

法王は、「だれかに腹を立てているときは、その人への敵対心しか感じないかもしれないが、その怒りの多くは自分が増長させている場合が多い」と述べられた。そして、ご友人でアメリカ人の精神科医アーロン・ベック博士の助言にふれられて、「だれかに腹を立てているとき、その怒りの対象は完全に敵対しているように思われるが、そのときに現われている怒りの90パーセントは自分自身の心が作り出したものにすぎない、ということを思い出すべきである」と語られた。怒りは固定的でも絶対的でもない。怒りは強まったり鎮まったりして、変化するものである。法王は、「破壊的感情(煩悩)は誇張されたものであることが多い」と述べられた。私たち人間にはすばらしい脳があり、そのおかげでさまざまな角度から物事を考えて、怒りをはじめとする感情をコントロールし、対処することができるのである。

病を受け入れることができない人々にどのように接するべきか、という質問に、法王は、「まずその人の気持ちを落ち着かせてあげること。そしてその人のことを心から考えているのだということを伝えること、笑顔で接すること、あなたが治療に最善を尽くすことを確信してもらうことが大切であると思う」と助言された。さらに、「病状については真実を伝え、いかに深刻な状態であるかを知ってもらうべきであると思う」と述べられた。

ヴュルツァー氏が、がんや致命的な疾患を天恵として受けとめている人々もいる、と述べると、法王は、「ある知り合いのチベット人の話であるが」と述べられて、そのチベット人が医師に本当の病状を教えてほしいとお願いしたこと、そうしてもらえれば、必要に応じて死ぬ準備をすることができるし、そうでなければ自分を欺くことにもなりかねない、と語ったという話をされた。

続いて、患者さんのためにもうこれ以上なす術がないとき、その無力感に医療従事者はどう対処すべきか、という質問に、法王は次のように述べられた。

「できるかぎりやさしくしてあげてください。やさしさや愛情を示すことは、死にゆく人によい精神状態でいてもらうための大切な方法です。仏教徒の多くは来世を信じていますので、死ぬときには前向きな考えかたをして、最善の気持ちで旅立つことが大切である、と考えています。キリスト教徒の方々もまた、神様に想いを馳せることによって、これから天国へ行くのだと確信しておられるはずです。絶望や失望は、何の役にも立ちません」

法王は続けて、「かき乱された感情(煩悩)は、現実を理解していないという無知と関連していることが多い」と述べられた。その無知に対して有用なのは、心と感情の働きを知ることである。そして心と感情の働きを知ることによって、困難な状況にも取り組みやすくなるのである。



ダライ・ラマ法王のお話に聴き入る聴衆。2016年2月29日、アメリカ、ミネソタ州ロチェスター(撮影:ジェレミーラッセル、法王庁)
思いやりのある人であるためには、神の存在を信じていることが必要か、という質問に、法王は、「それぞれの人生が神という創造主によってつくられたものであると考えている人たちにとっては、神とは限りない慈悲の本質を持つ存在であり、われわれひとりひとりがその神の子として心の中に思いやりの光を持っている、と考えているものと理解している」と答えられた。宗教を信心していない人々は、愛や思いやりは宗教的な資質にすぎないと考えているかもしれないが、実際には、愛や思いやりは人間の基本的な本質なのである。

「愛のない家族や社会が幸せになることなどできるでしょうか。人間は社会生活を営んで生きていく動物であり、人間をひとつにしてくれているのが愛なのです。完全にひとりきりで生きることのできる人はいません。人間は、互いに依存し合って生きているのです。宗教を信心しているかいないかにかかわらず、人間の幸せは常に心の状態と関連しています。これはたんに見たり、聞いたり、味わったり、触れたり、という感覚的経験として関連しているのではありません」

法王は、「望めるかぎりの快適な設備に囲まれて暮らしていたとしても、幸せでない人たちはいる。また貧しいながらも、満ち足りた幸せな気持ちで暮らしている人たちは大勢いる」と述べられて、バルセロナで会われたあるキリスト教の修道士の話をされた。その修道士は山に5年間籠り、わずかなパンとお茶だけで命をつなぎながら隠遁者として修行をした。法王がその修道士に何について瞑想していたのかお尋ねになると、その修道士は「愛について瞑想していたのです」と答え、その目は幸福感と満たされた想いにあふれていたという。法王は、「私たちが本当にしなければならないのは、知性を用いて内なる平和を築くことである」とまとめられた。

知性を用いて内なる平和を築くことと科学技術との関係について質問が挙がると、法王は、「科学技術はすばらしいが、すばらしいものでありつづけるかどうかは使いかた次第である」と述べられた。また法王は、私たちが科学と哲学から学ぶことは、古代インド思想においても見いだすことができることにふれられた。

苦悩や苦しみに直面したとき、どのようにして精神を維持するべきか、という質問に、法王は、「内なる心の平和に寄与してくれるのは、建設的な感情である」と述べられた。さらに、「思いやりには2種類ある」と述べられた。ひとつは、知っている人のことだけを心配する思いやりであり、もうひとつは、私たちひとりひとりが人間として同じであるという視野に立って人類全体のことを考慮し、すべての人間が幸せであることを目標とする思いやりである。後者の思いやりには、他者の幸せのために献身するときの心のあたたかさが土台となる。思いやりのある世界を築くには、そのような心の変革が必要なのである。

法王は、科学的に立証された事実として、まだ話のできない幼児でさえも人助けをしている挿絵をうれしそうに見つめ、危害を加えている挿絵からは遠ざかろうとする、と述べられた。これは、人間の性質が基本的にやさしく建設的であることを示している。したがって、私たちのだれもが心のあたたかさや思いやりを培うことができるのである。

聴衆が立ち上がり、拍手喝采を送るなか、法王は謝意を表明された。そして、風は冷たくも光あふれる屋外に出られ、車に乗り込まれると、滞在先へと戻られた。
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