長野 (ツェリン・ツォモ記 / phayul.com)
ダライ・ラマ法王は今朝、善光寺の裏山にある西蔵宝篋印塔を訪問され、40年以上前に交わされた日本とチベットの仏教徒交流の場面が再び甦ることになった。
|
西蔵宝篋印塔を参拝されるダライ・ラマ法王。2010年6月21日、長野(撮影:テンジン・チュンジョル、法王庁) |
戦後の日本が復興の真っただ中にあった1964年、ケツン・サンポ・リンポチェ、多田等観師、ツェリン・ドルマ女史、ソナム・ギャッツォ師の4人の仏教徒は、暴力と憎しみの無益さを世に伝えるために平和仏塔を建立した。ケツン・サンポ・リンポチェはチベット仏教の4宗派全てに精通した屈指の高僧で、日本でも10年間にわたって仏教を説かれた。
奉賛会の9名の年輩者は、法王が白いカター(チベットの伝統的な儀礼用のスカーフ)を仏塔に結んで短い祈りを捧げられるのを至福の表情で見守った。この仏塔は、長野県在住の平和を願う80名の熱心な信徒によって、46年間にわたって守られてきた。彼らは毎年5月にこのチベット仏塔を訪れては周囲の雑草を取り除くなど、定期的に手入れをしてきた。
奉賛会の中村ひですぐ氏は、ダライ・ラマ法王のご訪問は世界平和を願う信徒の励みになる、と語った。79歳の中村氏は元教員で、東京の成蹊学園校長であった故奥田正造氏の友人だ。奥田氏もまた仏塔建立に深く関わった人物で、女子教育の平等を求めて尽力したことから今でも長野県の人々に慕われている。
2008年、西蔵宝篋印塔の存在に気づいた善光寺が奉賛会に問い合わせたことから、中村氏が呼ぶところの、平和仏塔の“宗教的秘密”が世に知られることになった。ダライ・ラマ法王日本代表部事務所のラクパ・ツォコ代表も2009年にこの仏塔を訪れている。
「この仏塔が法王様の祝福を授かったことで、私たちもチベットの人々と深い宗教の絆で結ばれたような気がします。法王様は昨日の長野講演で熱心に世界平和について語られました。私たち奉賛会は、法王様とのご縁を感じています」と中村氏は語った。