長野(ツェリン・ツォモ記 / phayul.com)
ダライ・ラマ法王は、300名を超える日本人仏教徒に向けて、あらゆる苦しみの原因が無知にあることに気づくならば、人は誰もが同じように仏陀の境地に達する可能性を手にすることができる、と語りかけられた。
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西方寺で300名を超える人々に向けて法話をされるダライ・ラマ法王。2010年6月21日、長野(撮影:テンジン・チュンジョル、法王庁) |
「人には持って生まれた仏性があるということに気づくことで、自信が生まれます。これは幸せな人生への鍵です。」法王は、長野県の西方寺で「四聖諦」(四つの聖なる真理)を説かれる中でこのように述べられた。
この法話会は西方寺が主催したイベントの一環で、法王はこの他にも西方寺境内に新たに造られたマンダラ堂内の立体マンダラと阿弥陀如来像の供養を行なわれた。マンダラ堂の壁には八菩薩の仏画が、また天井には30の吉祥文様が描かれていた。
西方寺の金子英一住職は、西方寺が300年来所有する極楽浄土が描かれた観経マンダラのタンカにインスピレーションを得て、新たなマンダラ堂建立を思いついたという。金子住職は、このマンダラと阿弥陀如来像の建立は、チベットと日本の仏教の集大成といえる、と述べた。
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西方寺で阿弥陀如来像の開眼供養を行なわれるダライ・ラマ法王。2010年6月21日、長野(撮影:テンジン・チュンジョル、法王庁) |
マンダラ堂の壁画は、高名なタンカ絵師で彫刻家のケルサン・ロドゥ氏が率いる職人らによって描かれた。さらに仏像は、日本では失われてしまった粘土と和紙を使う技法を用いて制作された。この技法は奈良時代(710 ‐ 794)に盛んに用いられていた。
ケルサン・ロドゥ氏は著名な芸術家の家庭に生まれ、ダライ・ラマ法王専属の仏画絵師として制作に当たっている。これまでにワシントンDCのスミスソニアン博物館やマサチューセッツのスプリングフィールド博物館をはじめ、米国やヨーロッパの有名な博物館の仕事を手掛けてきた。