ダライ・ラマ法王14世日本公式サイト https://www.dalailamajapanese.com/ en-us ダライ・ラマ法王からのお礼のメッセージ https://www.dalailamajapanese.com/news/20250711 Don Eisenberg https://www.dalailamajapanese.com/news/20250711 親愛なる兄弟姉妹の皆様へ

私の90歳の誕生日に寄せて温かなお祝いの言葉をいただき、心より感謝申し上げます。皆さんのお心遣いに私は深く感銘を受けています。

90歳の誕生日は人生において重要な節目とされています。私はこれまで、思いやりと優しさを広めることに専念してきました。それこそが、この世界における平和と幸福の土台であると信じており、これからもその歩みを続けていくつもりです。

私が日頃から友人や支援者の方々にお伝えしているように、皆さんにもぜひこの取り組みに加わっていただきたいと願っています。思いやりの心で他者を助ける意味ある人生を歩んでください。それこそが、私にとって最高の誕生日プレゼントとなるでしょう。

私の人生が世界中の人々に少しでも役立ってきたのであれば、それは何よりの喜びです。残りの人生も私は他者のために尽くしていくつもりです。

感謝とともに、皆様の幸せを心よりお祈りしています。


ダライ・ラマ
2025年7月10日

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満九十歳を迎えるにあたって https://www.dalailamajapanese.com/news/20250706 Don Eisenberg https://www.dalailamajapanese.com/news/20250706 このたび満九十歳を迎えるにあたり、チベット人コミュニティをはじめとする様々な場所で、支援者の皆さん、友人の皆さんが祝賀のためにご参集くださっているものと思います。多くの方がこの機会を活用され、思いやり、やさしい心、そして利他の心の大切さを率先して見つめ直そうとされていることに、心から感謝したいと思います。

私自身は一人の仏教僧に過ぎず、普通は誕生日を祝うこともありません。しかし、皆さんが私の誕生日に際して様々な行事を催して下さっていますので、私も皆さんといくつかの考えを共有できればと思います。

物質的な発展のために努力するのは重要なことですが、同時に、心の平安を重視することが大切です。親しい人だけでなく、すべての人に対して思いやりを持ち、善い心を育む。そうすることで、皆さんはこの世界をより良い場所とすることに貢献できるでしょう。

私自身のことについて述べるならば、私は引き続きこれまでの使命に取り組んでいきたいと考えています。それは、人間的価値を高めること、異なる宗教間の調和を促進すること、心や感情のはたらきを説く古代インド哲学の智慧にさらに脚光を与え、チベット文化とその遺産をより多くの皆さんに知って頂くことです。チベットの文化遺産は、世界に貢献できる可能性を大いに秘めているのですから。

私は、釈尊やシャーンティデーヴァ(寂天)のようなインドの学匠たちの教えを通して、日々の生活における決意や勇気を育んでいます。


この虚空が存在する限り
有情が存在する限り
私も存在し続けて
有情の苦しみを取り除くことが出来ますように
シャーンティデーヴァ『入菩薩行論』第10章55偈


心の平和と慈悲の心を育むため、私の誕生日という機会をご活用いただき、深く感謝申し上げます。ありがとうございました。タシデレ。祈りをこめて。


ダライ・ラマ
2025年7月5日

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第15回チベット宗教指導者会議 最終日 https://www.dalailamajapanese.com/news/20250704 Don Eisenberg https://www.dalailamajapanese.com/news/20250704 インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州 ダラムサラ

今朝、ダライ・ラマ法王公邸の謁見室では、第15回チベット宗教指導者会議の、最後から2番目のセッションにあたる第8セッションが行われた。

謁見室正面の奥に着座されたダライ・ラマ法王の右側には、法王の隣から、サキャ派座主、メンリ・ティチェン・リンポチェ、ディクン・チェツァン・リンポチェ、タクルン・シャプドゥン・リンポチェの代理としてタクルン・マトゥル・リンポチェが着席し、左側には、法王の隣から、ガンデン僧院座主、ミンドリン僧院座主の代行であるミンリン・ケンチェン・リンポチェ、ドゥクパ・カギュ派の法主の代行としてケンポ・ゲド・リンポチェ、チョナン派法主のジョナン・ギャルツァプ・リンポチェが座った。中央チベット政権(CTA:Central Tibetan Administration)の各大臣と職員は、部屋の側面の椅子に着席した。

法王公邸の謁見室で行われた、ダライ・ラマ法王と第15回チベット宗教指導者会議の参加者との会談で、開会の辞を述べるペンパ・ツェリン内閣首席大臣。2025年7月4日、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・チュンジョル / 法王庁)

ペンパ・ツェリン内閣主席大臣は、法王と他の精神的指導者たちに敬意を表してから、会議で採択された3つの決議を以下のように読み上げた。

  1. 法王が先日発表された声明に対して、会議の参加者全員が同意と支持を表明した。
  2. 化身制度は宗教的な事柄である。中国はこれを政治的目的のために利用しており、私たちはこの事態を承認しない。
  3. 会議の参加者全員が法王の決定を受け入れる。

法王は、会議に参加した代表団と記念撮影をするため、仏壇と対面する位置に移動された。

第15回チベット宗教指導者会議の代表団と記念撮影をされるダライ・ラマ法王。2025年7月4日、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・チュンジョル / 法王庁)

そして、法王は集まった人々に向かって話を始められた。
「私たちが亡命してから長い年月が経ちますが、チベット人は比類のない精神力をずっと保ち続けています。私たちは亡命先で暮らしながら、私の先導の下、チベットの宗教と文化を守るために本当によくやってきました」

「私に関して申し上げるなら、毎朝起きるとすぐに、この偈頌を唱えて菩提心を生起しています」


自他の利益をよく成就するために
菩提心を生起いたします


「菩提心は他者のために働く勇気を与えてくれます。これまで私は落胆することなく、完全に決然とした態度で行動することができてきました」

「皆さんが、この第15回チベット宗教指導者会議を招集してくれたことに感謝します」

「私はシリンからラサに行き、チョウォ・リンポチェ像の前で戒を授かりました」

第15回チベット宗教指導者会議の代表団との会談において話をされるダライ・ラマ法王。2025年7月4日、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・チュンジョル / 法王庁)

「私たちは皆、チベットの大義を追求する決意を固めています。チベット三域(中央チベット・アムド・カム)の人々が団結を保っていることは、素晴らしいことです。私はこの団結した人々全体の指導者とみなされています。私はすべての決意と勇気をもってこの責任に取り組んできました」

「チベット仏教の伝統には、経典の教えの側面と体験に基づく教えの側面があります。私の仏法の兄弟姉妹たち、ラマと僧侶である皆さんには、これを護持していく責任があります。どうか尽力し続けてください」

ドゥドゥル・ドルジェ宗教担当長官が謝辞を述べ、法王、各伝統の長と、僧院の代表者たちなどに感謝の意を表した。

精神的指導者たちもまた、いくつかの言葉を添えた。サキャ派座主は、法王の長寿を祈り、法王のお言葉や願いを実現するために努力する必要性について触れた。ガンデン僧院座主は、「チベット人が輪廻に留まる限り、法王猊下、あなたが私たちを悟りへと導いてくださいますように」と述べた。

第15回チベット宗教指導者会議の代表団と会談されるダライ・ラマ法王。2025年7月4日、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・チュンジョル / 法王庁)

メンリ・ティチェン・リンポチェは、法王のお言葉に感謝し、法王の助言に従うよう参加者全員に呼びかけた。ミンリン・ケンチェン・リンポチェは、法王がチベットを訪問し、もう一度チベットの地を踏まれることを願っていると言及した。ディクン・チェツァン・リンポチェは、「法王猊下は菩提心の動機によって、私たち有情のなかに姿を現してくださいました。私たちは本当に幸運です。そして90歳になられても、有情のために働く決意を固めてくださっています。猊下のご長寿をお祈りいたします」と述べた。

ケンポ・ゲド・リンポチェは、法王が、ダライ・ラマ化身制度を継続し、法王の転生者が出現することを望む多くの要請を受けていると報告されたことに留意し、「今回の会議で、私たちはこれを支持する決議を採択しました」と述べた。

タクルン・マトゥル・リンポチェは、先日、法王がこの声明を発表されたことに感謝し、法王の長寿を祈って以下の偈頌を読み上げた。


至高で崇高な、蓮華の保持者(パドマパーニ)であるあなたに祈願します
あなたは、言葉を自在に操る、金剛石のような穏やかな光です
あなたの卓越した洞察の水瓶は、高貴な智慧の甘露で満たされています
そしてあなたは、仏法の護持者たちの、広大で遊戯ゆげなる大海を美しく荘厳しょうごんする飾りです


チョナン・ギャルツァプ・リンポチェは、法王のやさしさと、その悟りの行いは、チベット人だけにとどまらず、すべての有情に向けられていることを皆に思い起こしていただきたいと述べた。そして、法王のご長寿と、法王がチベットで法輪を回すためにポタラ宮に戻られることを祈願した。

宗教担当長官は、この会談に参加したすべての人々に感謝し、至らない点に関する謝罪を述べた。そして、「世界のすべての善と幸福の源である仏法が末永く存続し、ラマ方がご長寿であり、チベット人が団結していますように」と言ってスピーチを締めくくった。

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ダライ・ラマ化身制度の継続確約についての声明 https://www.dalailamajapanese.com/news/20250702 Don Eisenberg https://www.dalailamajapanese.com/news/20250702 (チベット語の原文を英訳した記事からの和訳)

2011年9月24日に開催されたチベット伝統宗教高僧会議において、私は、チベット内外の同胞の皆さん、チベット仏教を信奉する皆さん、そしてチベットやチベット人とご縁のある方々に向けて、ダライ・ラマの化身制度を継続すべきかどうかについて声明を発表しました。その中で私は、「すでに1969年の時点で、ダライ・ラマの化身制度を将来において続けるべきかどうかは、それに関わる人々が決めるべきであると私は明言した」旨を伝えました。

また、「私が90歳くらいになったら、チベット仏教の高僧たち、チベット人をはじめとするチベット仏教を信奉する関係者と話し合い、ダライ・ラマの化身認定制度を継続するか否かを再検討したい」とも述べました。

私はこの問題について公に議論したことはありませんが、今日までの14年間、チベット仏教の伝統宗派の指導者である高僧たち、チベット人行政機構における議会、特別委員会、公務員、非政府組織、ヒマラヤ・モンゴル・ロシア地域にある地方僧院、中国本土の漢人たち、アジアの仏教徒たちが、ダライ・ラマの次世代の継続を切実に望み、その理由を書いた手紙を私に送ってくれました。とりわけチベット本土のチベット人の皆さんからは、様々な通信手段を用いて大変多くの継続の要請をいただきました。これらすべての要請に従い、私はダライ・ラマの次世代の継続を確約します。

将来のダライ・ラマの化身認定方法については、2011年9月24日の声明に明確に定めた通り、その責任はダライ・ラマ法王庁ガンデン・ポタン信託財団の執行役員に置かれています。彼らは、チベットの伝統仏教の各宗派の指導者である高僧の方々やダライ・ラマの系譜と切り離せない関係にある護法尊たちの助言を仰ぎながら、これまでの伝統に従って化身者の捜索・認定を実行する必要があります。

ここに私は、ガンデン・ポタン信託財団は将来の転生者を認定する権限を有する唯一の存在であり、他のいかなる人もこの問題に干渉する権限はないことを改めて表明いたします。


ダライ・ラマ

2025年5月21日
ダラムサラにて

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新ローマ教皇レオ14世に祝辞 https://www.dalailamajapanese.com/news/20250509 Don Eisenberg https://www.dalailamajapanese.com/news/20250509 インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ

ダライ・ラマ法王は今朝、ローマ・カトリック教会の新たなリーダーに選出されたローマ教皇レオ14世を祝して書簡を送られた。その中で、法王は次のように述べられた。

「貴殿の前任者の中には私が会って話をしたことがある方々もおられ、打ち解けた会話を楽しんだことを私は大変嬉しく思っています。また私は40年以上にわたり、さまざまな伝統宗教の代表者やキリスト教徒の兄弟姉妹の皆さんと有意義な意見交換を行ってきました。私は、人類はひとつの人間家族という信念を持って異なる宗教間の調和を促進することは、私自身の人生の使命のひとつであると考えています。実際、1986年にローマ教皇ヨハネ・パウロ2世がアッシジで主催された世界の諸宗教による『世界平和を祈る集い』に参加したときには深い感銘を受けました」

「世界中の人々が多くの試練に直面している今、貴殿がローマ教皇に選出されたことは、カトリック社会だけでなく、より幸せな生活をより思いやりのある平和な世界に求めているあらゆる人々に新たな希望をもたらすものです」

法王は、祈りを捧げて書簡を締め括られた。

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ローマ教皇の逝去に哀悼の意を表明 https://www.dalailamajapanese.com/news/20250221 Don Eisenberg https://www.dalailamajapanese.com/news/20250221 インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ

カトリック教会の頂点に立つローマ教皇フランシスコの逝去を受けて、ダライ・ラマ法王は、駐印ローマ教皇大使レオポルド・ジレッリ師に書簡を送り、哀悼の意を表明された。書簡の中で法王は、フランシスコ教皇の精神上の弟たち、妹たち、そして世界中の信徒たちに向けて、次のような祈りとお悔やみの言葉を捧げられた。

「フランシスコ教皇は、他者への奉仕にひたむきに取り組まれました。ご自身の行動によって、シンプルでありながら意義のある生き方を示してこられたのです。私たちが教皇に捧げることのできる最高の敬意は、心の温かい人になること、どこにいても、どのような形であれ、人のために尽くせる人になることです」

「祈りをこめて」と記して、法王は書簡を結ばれた。

ここダラムサラのチベット寺院ツクラカンでは、チベット人コミュニティによる追悼式が行われている。

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ミャンマー大地震の被災者に哀悼の意を表明 https://www.dalailamajapanese.com/news/20250329 Don Eisenberg https://www.dalailamajapanese.com/news/20250329 インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ

ダライ・ラマ法王は、ミャンマーを襲った大地震によって多くの尊い命が失われ、多くの負傷者が発生していることに深い悲しみを表明された。

「愛する人を亡くされたご遺族の皆様にお悔やみを申し上げたいと思います。ミャンマーをはじめ、タイなど近隣諸国のすべての被災者のために祈りを捧げたいと思います」

「一方で、国連機関だけでなく、インドなどの国々が被災地に人道的支援を送り、救援活動を助けているのは実に心強いことです」

「ミャンマーの人々との連帯のしるしとして、私もダライ・ラマ基金に対し、適切なルートを通じて救助と救援のための寄付を行うよう依頼しました」

メッセージの締め括りに、法王は祈りを捧げられた。

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チベット地震の被災者に深い悲しみを表明 https://www.dalailamajapanese.com/news/20250107 Don Eisenberg https://www.dalailamajapanese.com/news/20250107 チベット自治区のシガツェ市ティンリ県とその周辺地域が今朝、壊滅的な地震に襲われたことを知り、私は深く悲しんでいます。多くの人命が失われ、多数の負傷者が出て、広範囲にわたり家屋や建物が倒壊しています。

亡くなられた方々のために祈りを捧げるとともに、負傷された方々の一日も早いご回復をお祈りしたいと思います。

ダライ・ラマ
南インド、バイラクッペにて

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カーター元米大統領の逝去に哀悼の意 https://www.dalailamajapanese.com/news/20241230 Don Eisenberg https://www.dalailamajapanese.com/news/20241230 インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ

米国のジミー・カーター元大統領の訃報を受けて、ダライ・ラマ法王は本日、そのご子息であるチップ・カーター氏に宛ててカーター・センターに書簡を送り、哀悼の意を表明された。

ジミー・カーター元大統領とダライ・ラマ法王。2002年

書簡の中で、法王は次のように述べられた。
「カーター大統領は、貧しい人々や社会的弱者を助け、紛争の平和的解決を模索し、世界中で民主主義と人権が向上するよう、何十年にもわたりたゆまぬ努力を続けられました。これほど長い年月を現役で走り続けるお姿は、他者のためにいかに生きるべきかという手本となりました。2002年にはノーベル委員会も人類の幸福に対する元大統領の貢献を認めて、ノーベル平和賞を授与しました」

「また、カーター大統領がチベットの状況に深い関心と懸念を寄せてくださったこと、そしてチベットの人々の苦境を和らげるためにイニシアチブをとってくださったことに、私たちチベット人は感謝の念を抱き続けています」

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ドナルド・トランプ氏を祝福 https://www.dalailamajapanese.com/news/20241107 Don Eisenberg https://www.dalailamajapanese.com/news/20241107 インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ

ダライ・ラマ法王は、米国大統領選挙の勝利を祝してドナルド・トランプ氏に書簡を送られた。その中で、法王は次のように述べられた。

「私は長年にわたり、民主主義・自由・法の支配の擁護国であるアメリカ合衆国を称讃してきました。世界中が米国の民主的な展望とリーダーシップに大きな期待を寄せています。世界のあちこちで大きな不安と激動が起きている今、貴殿が平和と安定をもたらすためにリーダーシップを発揮されることを私は心から願っています」

「平和・非暴力・慈悲の文化であり、人類全体に恩恵をもたらす可能性を持つチベット古来の仏教文化の保持に努めてきた私たちチベット人に対して、歴代の米国大統領と国民の皆様から支援をいただいてきたことを私たちは光栄に思っています」

そして法王は、「貴殿がアメリカ国民の願いを実現し、世界の平和に貢献するために、目の前に立ちはだかる多数の問題を解決することができるよう祈念したいと思います」と結ばれた。

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オマール・アブドゥラ氏を祝福 https://www.dalailamajapanese.com/news/20241016 Don Eisenberg https://www.dalailamajapanese.com/news/20241016 インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ

ダライ・ラマ法王は、インド北部の連邦直轄領ジャンムー・カシミール地方の議会選挙の結果を受けて、オマール・アブドゥラ氏が率いる連立政権の勝利と州首相就任を祝して同氏に書簡を送られた。書簡の中で、法王は次のように述べられた。

「以前にもお伝えしたように、私はシェイク・アブドゥラ氏の時代から貴方に至るまで、三世代にわたって貴方の一族と知り合う機会に恵まれました。私はこの友情を大切に思っています」

「貴方が目の前に立ちはだかるあらゆる困難を乗り越えて、ジャンムー・カシミール地方の人々の願いを実現するための好機とすることができるよう願っています」

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日本被団協のノーベル平和賞受賞を祝福 https://www.dalailamajapanese.com/news/2024/20241012 Don Eisenberg https://www.dalailamajapanese.com/news/2024/20241012 インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ

ダライ・ラマ法王は、今年のノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の代表委員である田中熙巳氏、田中重光氏、箕牧智之氏宛てに書簡を送り、全会員に向けて次のような祝福の言葉を伝えられた。

広島平和公園で仲間のノーベル平和賞受賞者とともに追悼の祈りを捧げられるダライ・ラマ法王。2010年11月14日。日本、広島(撮影:薄井大還)

「皆さんの中には、私が来日中にお目にかかる機会があった方々もいらっしゃいます。皆さんの取り組みに、私は深く感謝しています」

「核兵器のない世界を実現するために努力し、核兵器が二度と使われてはならないことを証言によって示してきたとして、日本被団協に2024年のノーベル平和賞を授与することを決定したノルウェーの選考委員会に、私は拍手を送りたいと思います」

「広島と長崎は私自身も訪れており、犠牲者の方々、とりわけ被爆者の方々が経験された計り知れない苦しみは多少なりとも理解できます。核爆弾の恐怖を体験された被爆者であるからこそ、日本被団協を立ち上げた方々は、この危険な兵器を廃絶する必要性を力強く訴えることができたのだと思います」

「私は、核兵器の全廃と世界全体の非武装化を求める活動家の一人として、この受賞が国連とその加盟国をはじめとする私たち皆を鼓舞し、核兵器の脅威を取り除き、完全な核軍縮のために真に一致団結した取り組みに向かわせるものであると固く信じています」

法王は最後に、次のように述べられた。
「私たち人間は、多くの問題をこの世に生み出してきました。私たち皆が幸せになりたい、苦しみを遠ざけたい、と望んでいるように、怒りや憎しみといった強い否定的な感情を克服して、人類はひとつの人間家族であることを認識する必要があります。ただ祈るだけでは平和は実現しません。大切なのは行動です」

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『修行道の三要素』の法話 https://www.dalailamajapanese.com/news/2024/20240930 Don Eisenberg https://www.dalailamajapanese.com/news/2024/20240930 インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ

今朝、ダライ・ラマ法王はツクラカンの回廊を巡って、1,300人の台湾からの参加者と、南インドの僧院から休暇で来ている多くの僧侶たちを含む、およそ7,000人の聴衆に向けた法話会の会場へと向かわれた。途中で法王は、人々に微笑みかけ、時折、目に留まった年配の男性や女性に手を差し出された。

ツクラカンで行われた法話会で、法座に着く前にガンデン僧院の座主を歓迎されるダライ・ラマ法王。2024年9月30日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:ザムリン・ノルブ / 法王庁)

法話会場に到着すると、法王は、ガンデン僧院の座主に温かい歓迎の挨拶をされてから法座に着いた。中国語で『般若心経』が唱えられ、続いて法王にマンダラが捧げられた。

法王は、次のように話を始められた。
「今日、私たちは精神的な話をする予定です。ここに来る途中、皆さんがツォンカパ大師に捧げる祈願文である『ミク・ツェマ』を唱えているのを聞きながら、私はツォンカパ大師の生誕地の近くに生まれただけでなく、大師の哲学的な見解にも近い共感を抱いていることを思い起こしました。しかし、仏陀の法の存続は特定の場所に関係しているわけではなく、私たちは仏法を護持するために、亡命先の地において最善を尽くしてきました。ツォンカパ大師の教えは世界中に広まっており、私はその教えを明確に説くために努力してきました」

「チベットにいたとき、そして雪の国チベットを離れてからも、ツォンカパ大師の全18巻の著作集を読むことは、私の最も重要な修行のひとつになっています。私はこの全集に特別な敬意を抱いており、親密なつながりを感じています。今日は、ツォンカパ大師の『修行道の三要素』の口頭伝授を行います」

「仏法はチベット人の精神性の核であり、私たちはそれを生きたものとして保ち続け、勉学と修行を通してしっかりと護ってきました。その結果、仏法に関心を持つ多くの人々が、私たちの伝統に注目しています」

お茶とパンが配られ、法王の名前を賛える以下の偈頌の朗読によって、お茶とパンが加持された。


  • 至高で崇高な、蓮華の保持者(パドマパーニ)であるあなたに祈願します
  • あなたは、言葉を自在に操る、金剛石のような穏やかな光です
  • あなたの卓越した洞察の水瓶は、高貴な智慧の甘露で満たされています
  • そしてあなたは、仏法の護持者たちの、広大で遊戯なる大海を美しく荘厳する飾りです


法話の休憩時間に、聴衆にお茶とパンが配られた。2024年9月30日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・チュンジョル / 法王庁)

そして法王は、次のように話を続けられた。
「釈尊の時代には、仏法は北から北へ広まるという予言がありました。釈尊は悟りを開かれた後、四聖諦(四つの聖なる真理)の説明から説法を始められましたが、やがて釈尊の説かれたことは、インドの北に位置するチベット全土に広がり、チベットの北にあるモンゴルにも広がっていきました。チベットにいるチベット人と亡命したチベット人は、戒学、定学、慧学という三学を学んで実践することで、その伝統を守り続けてきました。これらの三学は根拠と論理に根ざしているため、世界中で仏教に対する関心が高まっています」

「修行道の三要素とは、出離の心、すなわち輪廻から自由になろうとする決意と、菩提心、そして正しい見解の三つですが、出離の心は直接悟りにつながるものではなく、他の二つの要素によって補強される必要があります」

「シャーンタラクシタ(寂護)は、チベットの王たちによってチベットに招聘されたインドの導師のひとりですが、彼はチベットにおいて仏教を確立されました。私たちは説かれた教えを勉強し、それについて瞑想し、“三学” と “修行道の三要素” を実践してきました」

「出離の心が強くなれば、今世や来世の輪廻の快楽や魅力に惹きつけられることはなくなり、そこから目を背けるようになるでしょう。しかし、菩提心と空性の正しい見解がなければ、一切智の境地を得ることはできません」

「私は、一日が始まると同時に菩提心と空性の理解を高めています。悲しい知らせを耳にしたとき、この二つは私が出離の心を高めるための助力となっています。心と感情の働きを理解し、いかにして事物が縁起によって生じるかを見ることで、苦しみは無知に根ざしていることが理解できます」

ツクラカンで行われた法話会で、聴衆に説法をされるダライ・ラマ法王。2024年9月30日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・チュンジョル / 法王庁)

「修行道の三要素は、自分の心の中で統合されるべきものです。それは私たちの内なる体験の一部にならなければなりません」

法王は、以下の点に留意しながらテキストを快活に読み進められた。
純粋な出離の心がなければ、輪廻の海で快楽の果を求める心を鎮める手段はない。私たちは今世と来世への執着を減らす必要があり、輪廻の栄華を願う心などを一瞬たりとも起こすことなく、昼夜たゆまず解脱を求める心を持てたなら、その時こそ出離の心が生じるのだ。

しかし、出離の心があっても、純粋な発菩提心に伴われていなければ、無上の悟りという卓越した幸せの因とはならないので、菩薩たちは最もすぐれた菩提心を生起する。菩薩たちは、私たちの母なる有情が、〔欲望、執着、邪見、無知など煩悩の〕四つの激流に押し流されて、絶ちがたい業にきつく束縛され、我執という鉄の檻に閉じ込められて、無明の厚い暗闇に覆い尽くされていること、そして限りない輪廻の生を繰り返し、三つの苦しみに絶え間なく苛まれていることを省察し、このように考えることで菩提心を起こす。

このテキストは、出離の心と菩提心を育んでも、空性を理解する智慧がなければ輪廻の源を絶ち切ることはできないことに触れている。それゆえ、私たちは縁起を正しく理解するための努力をしなければならない。

ツォンカパ大師は、あらわれとは誤りなく縁起するものであり、空とは〔自性を〕受け入れないことであるが、この二つの理解が別々にあらわれている限りは、まだ仏陀の真意を正しく理解しておらず、この二つの理解がいつの日か交互ではなく、同時にあらわれた時こそ、空の見解の分析は完全なものとなると述べられている。ツォンカパ大師はさらに、あらわれによって実在論を取り除き、空によって虚無論を取り除き、空が因や果としてあらわれるさまを知ったなら、もはや極端論にとらわれることはなくなるだろう、と明かされている。

法話中にメモを取る台湾からの参加者。2024年9月30日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・チュンジョル / 法王庁)

ツォンカパ大師は、このテキストを授けた弟子のガワン・タクパに対して、修行道の三要素の真髄を正しく理解し、静謐の地にとどまり、精進の力を起こして、めざす境地を速やかに成就すべきであると助言されている。

ここで法王は、菩薩戒を授与すると宣言された。法王は、シャーンティデーヴァ(寂天)の『入菩薩行論』のような、菩提心とそのよき徳性について書かれた著作を読むと、心が動かされ、示唆を与えられる、と述べ、このようなテキストは、私たちが、虚空にくまなく存在する一切有情のために働くことを勇気づけてくれる、と話された。

法王は「最初に悟りへの道を歩み始めたとき、釈尊はこのような菩提心を起こされたのですから、私たちもそれを模倣すべきです」と述べられ、菩薩戒の授与に移った。

法王は、三宝への帰依と発菩提心の偈頌を読み上げ、聴衆に向かって「菩提心を起こし、自ら菩薩戒を授かるように」と促された。次に法王は『入菩薩行論』から、菩薩戒の受戒を祝う以下の偈頌を繰り返し唱えられた。


  • 今、〔菩薩戒を授かり〕私の人生は実りあるものとなりました。人間の恵まれた生を得て、今日、仏陀の系譜を持つ者として生まれ、今こそ仏陀の息子となることができますように。(第3章26偈)

  • 今、私は何としてでも、この系譜にふさわしい〔四摂事、六波羅蜜など菩薩の〕善き行ないを始めて、過失のない清らかなこの系譜を汚すことのないようにいたします。(同27偈)


そして法王は次のように考察された。
「世界中の人々が武器や武力の行使に取りつかれているようです。仏法の実践者として、私たちはこれを回避しなければなりません。武力を行使して何も良いことは生まれません。多くの人々を殺すことは、さらなる苦しみをもたらすだけです。執着、怒り、憎しみを捨て、一切有情を利益するために働くべきです。自分自身の中に菩提心を育てることこそ、私たちの主要な目的であるべきなのです」

ツクラカンの中庭に座って法話会に参加する聴衆。2024年9月30日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:ザムリン・ノルブ / 法王庁)

続いて、聴衆からいくつかの質問が寄せられ、法王は、精神の師から離れないための主な要因は何かと尋ねられた。これに対して法王は、授かった教えを心に留め、それを実践することで、師との強い結びつきが生まれると回答された。

別の質問者は、自他を入れ替えるといった修行を地道に積み重ねることが、本物の体験につながるのかどうかを尋ね、法王は「そのような修行に心を慣らしていけば、やがて体験が生まれるでしょう。そして菩提心が、より身近なものになってくるでしょう」と答え、四無量心についての以下の偈頌を繰り返し唱えられた。


  • 一切有情が幸福と幸福の因とともにありますように
  • 一切有情が苦しみと苦しみの因から解放されますように
  • 一切有情が他者の幸福を喜べますように
  • 一切有情が貪欲と瞋恚から離れ、平和に暮らせますように


「菩提心に慣れ親しんでいれば、やがて菩提心に満たされるときがきます。私は日々菩提心と空性の見解を培い、それが自分の中に確かな体験を生み出していると感じています」

法話会が終了し、会場を出る前に、聴衆に手を振られるダライ・ラマ法王。2024年9月30日、インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ(撮影:テンジン・チュンジョル / 法王庁)

次に、初心者が菩提心を衰えさせないためにどのように行動すべきかと問われ、法王は「修行を根気よく続ければ、菩提心が衰えることはありません」と簡潔に助言された。最後に法王は、将来において善趣に生まれる主な因は、菩提心を高めることと、空性の理解を培うことであると宣言された。

台湾の弟子たちは、法王のアドバイスに拍手喝采して喜びを表した。会場を出た法王はエレベーターまでしっかりと歩き、人々に微笑みかけながら中庭まで進むと、ゴルフカートで公邸に戻って行かれた。

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日本の新内閣総理大臣を祝福 https://www.dalailamajapanese.com/news/2024/20241002 Don Eisenberg https://www.dalailamajapanese.com/news/2024/20241002 インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ

ダライ・ラマ法王は、新たに日本の内閣総理大臣に選出された石破茂氏へ書簡を送り、次のような祝福の言葉を伝えられた。

「私は長年にわたり、日本を度々訪問する機会に恵まれました。思いやりの心といった人間としての基本的な価値観の育成を促す私の努力や、宗教観の調和を促進し、核兵器を含むあらゆる武器のない平和な世界を実現するための私の取り組みに対して、日本のさまざまな立場の人々が示してくださった関心と熱意に深く感謝しています」

「私は、日本の人々が、日本を世界で最も近代的な国のひとつに変革しようと努力してきたことを称賛しています。日本はまた、世界平和の樹立に向けて、たびたび先導的な役割を果たしてきました。貴国の精神的な伝統は平和を大変重要視しており、私は貴方が在任中に、その伝統をさらに発展させることができるよう願っています。特に、世界各地で不確実性が高まり、大きな混乱が生じているこの時代には、真摯で協調的な努力によって、対話と外交を通じて問題を解決することが極めて重要です」

法王は書簡の終わりに、石破氏が日本人の希望と願いをかなえ、より平和で思いやりのある世界の実現に向けた石破氏の努力が成功するよう祈りを捧げられた。

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カーター元米大統領の100歳の誕生日を祝福 https://www.dalailamajapanese.com/news/2024/20241002-1 Don Eisenberg https://www.dalailamajapanese.com/news/2024/20241002-1 インド、ヒマーチャル・プラデーシュ州ダラムサラ

ダライ・ラマ法王は、米国のジミー・カーター元大統領に書簡を送り、歴代の大統領で初めて100歳の誕生日を迎えたことを「感動的な功績」として祝された。書簡の中で、法王は次のように述べられた。

ジミー・カーター元米大統領とダライ・ラマ法王。2002年。

「ご家族と共にお祝いしておられることでしょう」

「貴殿は実に有意義な人生を歩んでこられ、ご存知のように、私は長年にわたり貴殿のご活動を讃えてきました。これほど長きにわたるご活躍は、実に素晴らしいことです。他者を利することを常に考えておられる貴殿の姿は、私たち皆に勇気を与えてくださいます。私は心から感謝しています」

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