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心と生命会議「愛と慈悲に基づく力とケア」初日 2016年9月9日

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ベルギー、ブリュッセル

ダライ・ラマ法王を乗せた車はブリュッセルの朝の静かな道を走り、政府関連のビルや数々の装飾を凝らした教会を通ってブイヨンの十字軍ゴドフリーの荘厳な騎馬の銅像のあるロイヤル・スクエアを抜けると、芸術複合施設ボザールに到着した。会場入り口では、法王の古くからのご友人、法王のお姿を見ようと集まった大勢の人々や報道陣が法王のご到着を出迎えた。


芸術複合施設ボザールで開催された、“愛と慈悲に基づく力とケア”について討議する「心と生命会議」初日の午前の部のステージの情景。2016年9月9日、ベルギー、ブリュッセル(撮影:オリビエ・アダム)
法王が席に着かれ、午前の部のパネリストと1,900人の聴衆も着席すると、欧州心と生命研究所(Mind & Life Europe)総責任者のサンデール・ティデマン氏が第31回心と生命会議の開会を宣言した。ヨーロッパの中心地であるブリュッセルでの開催は、今回が初めてとなる。同氏は挨拶の中でこの会議の開催に尽力してくれたすべての人々、特にボランティアスタッフへの謝辞を述べた。続いて挨拶をしたブリュッセル自由大学 (ULB / Université libre de Bruxelles)代表のピエール・グルジャン氏は、今回の会議のテーマである“愛と慈悲に基づく力とケア”にはリーダーシップが重要であるとし、世界を変えたいと願うすべての人がリーダーであると述べた。
午前の部の司会を務めたフランス人僧侶で科学者のマチウ・リカード氏は、今日から3日間の対話の中で、力とケアにはどんな関係があるかを探り、この2つの健全なバランスを見つけ出したいと述べた。続いて最初のパネリストであるフランス・ドゥ・ヴァール博士がプレゼンテーションを行なった。行動生物学を専門とする同氏は、チンパンジーとピグミーチンパンジーの観察から得られた力と支配の関係について発表した。チンパンジーには二足でふんぞり返って歩く支配的なオスと、腰をかがめて歩く服従的なオスがいることを説明した同氏は、霊長類と有名な政治家の写真を並べて比較し、会場を沸かせた。さらに同氏は支配的なオスのチンパンジーのリーダーシップには、力と思いやりの両方があることを指摘した。例えば、それは群れの争いを止めるときに顕著に現れ、またやさしく慰めるのは一般的にはメスの役割とされているが、支配的なオスにもこの分野の才能があるとした。

意見を求められた法王は次のように語られた。




「心と生命会議」初日の冒頭でお話をされるダライ・ラマ法王と通訳のゲシェ・トゥプテン・ジンパ氏。2016年9月9日、ベルギー、ブリュッセル(撮影:オリビエ・アダム)
「今日ここで心と生命会議に参加できたことを大変嬉しく思います。これを実現してくださった皆さんに心から感謝いたします。このような会議を始めてから30年以上が経ちます。この場を借りて、初期の頃の熱心な会議の推進者であったフランシスコ・ヴァレーラ氏に改めて感謝の気持ちを捧げたいと思います。私は1973年に初めてヨーロッパを訪れ、どの国も非常に発展しているにも関わらず、ほとんどの人はさほど幸福を感じていないことを知りました。誰もがストレスと競争心で疲れきっているようでした。物質的な発展は肉体的な心地よさをもたらしますが、心を落ち着かせてくれるものではありません。そこで私は宗教への信心に関わらず、内なる心の平穏を築くにはどうすればいいかを皆さんと共有することで、世界をよりよいものにする貢献ができるのではないかと考えました。しかしその時、私は仏教の僧侶たちから科学と仏教の伝統は相反するのではないかと指摘され、西洋人の友人からは科学は宗教を殺すものだと言われました。それでも私は科学者の皆さんとの対話を始め、こうして今日、私たちはこのヨーロッパで対話を続けています」

法王は、過去にヨーロッパで2回の世界大戦が起こり、暴力と破壊が最高潮に達した結果、人類に甚大な被害をもたらしたことついて語られた。しかしその後欧州連合が組織され、現在も機能しているのは、これが賢明なアイデアであり、人々の成熟を示すものだったからであると述べられた。法王は、かつて物理学を教えてくれたカール・フォン・ワイツゼッカー氏の言葉を引用し、フランス人にとってドイツ人は誰もが敵であり、ドイツ人にとってはフランス人の誰もが敵であるという時代があったことに触れ、これはすべて過去のことであり、世界は変わったと述べられた。

法王は、心と生命研究所が物質的な発展だけでなく、内面の価値を高めることにも関心を払っていることを称えられ、この活動によってより多くの人が健康なからだと心の平穏を得られるよう願っている、と述べられた。また法王は、宗教への信心があるかどうかに関わらず、愛と慈悲の心は誰もが必要としているものだと説かれた。人間は知性を持つ生き物であり、その使い方を誤ると問題を引き起こすことになる。チンパンジーの研究は人間の行動様式を知るヒントにはなるが、人間の知性についてまで突き止めることはできないのではないか、と法王は疑問を投げかけられた。




「心と生命会議」初日の午前の部で、プレゼンテーションを行なうサラ・ブラファー・ハーディ博士。2016年9月9日、ベルギー、ブリュッセル(撮影:オリビエ・アダム)
続いて人類学の分野では、サラ・ブラファー・ハーディ博士が子どもに対する様々な接し方について発表した。チンパンジーの母親が出産後4ヶ月は子どもを肌身離さずにいるのに対し、人間の中には新生児を生まれた瞬間から他者に扱わせている人もいる。その違いは、子どもの成長には他者の助けが不可欠であることを人間はしっかりと認識しているからだという。人間は生まれて15年ほどで自立できるようになるが、その間母親は子どもを育てるために他者から多くの助けを受けている、と同氏は説明した。

法王はこの説明に関心を示され、人間の母親は自分の子どもに対して慈悲と責任感を持っているのに対し、亀は砂地に産卵するだけで、卵が孵化するときにはもう側にいないという事実に触れ、生まれた亀と母親の亀の間には愛情の絆はないことを述べられた。

法王は、人間の基本的な資質は慈悲の心であることが科学的に裏付けられており、これは大いに希望が持てるしるしだと繰り返し述べられた。つまり、私たちの努力次第で心によき変容を起こすことができるのである。また法王は、子どもが表面上の違いにとらわれることなく、誰とでも打ち解ける開かれた心を持っているにも関わらず、大人になるにつれてその心が失われていくことに触れ、人間の内面的な価値に重きを置かない現代の教育システムの不十分さを指摘された。




「心と生命会議」初日の午前の部で行なわれたヨハン・ロックストローム博士のプレゼンテーションの様子。2016年9月9日、ベルギー、ブリュッセル(撮影:オリビエ・アダム)
生態学の分野では、ヨハン・ロックストローム博士が私たちの経済社会には大きな誤りがあることを指摘した。私たち人間は、広大な地球上に小さな経済社会を築いていたはずが、今では巨大に膨れ上がった経済社会が地球規模を凌駕してしまったからである。地球環境は1990年まで対処できるであろうとされていたが、環境破壊による惨事は目の前に迫っている。そのような状況下で、オゾン層の破壊を食い止めるという前向きな動きも起こっており、今後は化石燃料を減らしていく努力が必要であると、同氏は述べた。

法王は、パネリストたちの発表を問題意識とともに興味深く聴かれていたが、「すばらしい。どうもありがとう」という法王の言葉で午前の部は終わり、昼食休憩に入った。

午後の部は、禅僧のジョアン・ハリファックス老師が司会を務め、心理学、内分泌学、脳科学の観点から対話を進めた。最初にアレクサンドラ・フロイント博士が力を持つ人物についてのプレゼンテーションを行なった。同氏は強い力を持つ人の名前を挙げるようにと言われたら、ヒトラーや毛沢東と答える人がいるかもしれないが、非暴力という手段を用いて英国支配の力をインド独立の力に変えたマハトマ・ガンジーこそ、最もすぐれた力の持ち主であると述べた。同氏は、何を目的に努力するべきかという心の動機が持つ力について語り、力とは、人や環境によき影響を与え、物事の明暗を見分けることであると述べた。




「心と生命会議」初日、プレゼンテーションを楽しんで笑顔を見せる聴衆。2016年9月9日、ベルギー、ブリュッセル(撮影:オリビエ・アダム)
内分泌学の分野では、マルクス・ハインリッヒ博士が子宮収縮ホルモンや男性ホルモン等の効果について発表した。同氏は「愛のホルモン」という名でエアコンや鼻腔スプレーからホルモンをばら撒いても、世界には何の変化も望めないという結論でプレゼンテーションを終えた。

脳科学者のタニア・シンガー博士は、世俗のケアと慈悲についての瞑想トレーニングを行なっているグループについて研究し、そこから得られた力とケアの関係性について発表した。同氏によると、人は年を重ねる毎にやさしくなるのではなく、努力して慈悲の心を育む訓練が必要であるという。さらに、瞑想はあらゆる病を癒す万能薬ではなく、何に瞑想するかでその効果は変わってくる。最近の脳科学では、利他と慈悲の心は訓練によって育てていくことができるのであり、やがては脳がそれに順応し、日々のよりよい行動につながっていくことが明らかにされている。




「心と生命会議」初日の午後の部で行なわれたリチャード・シュワルツ博士のプレゼンテーションの様子。2016年9月9日、ベルギー、ブリュッセル(撮影:オリビエ・アダム)
家庭問題を専門とする精神科医であるリチャード・シュワルツ博士は、煩悩はたいてい力とケアが極限の状態に陥った時に起こるものだと説明した。同氏はかつて元妻を殺したい衝動に悩む患者を診察した経験を話し、会場の関心を集めた。なぜそのような衝動に駆られるのか、患者が悩み続けた末にようやく突き止めた原因は、幼少期の記憶が引き金となって、患者自身が力を失うことへの恐怖に苛まれていたからだった。同氏は次の言葉で対話を締めくくった。

「私たちは自分の内なる敵に向き合うべきです。ダライ・ラマ法王は外的な敵に対して思いやりと慈悲の心を持つように説かれていますが、私たちは自分の内なる敵に対しても同じ心で向き合うべきです。これが私のメッセージです」

法王は午後の部の最後に、次のように述べられた。

「皆さんが心と感情に関心を持ってくださっていることを大変嬉しく思います。これが私たちのスタート地点です。今朝もお話したように、問題を起こしている真の原因は私たちの心です。内なる心の平穏があるならば、心が外的な問題に惑わされることはありません。それだけでなく、心の痛みともうまく向き合うことができるようになります。瞑想についてお話しするならば、分析的な瞑想(観)は一点集中の瞑想(止)に比べて、知性を用いることが必要です」




「心と生命会議」初日の午後の部が終了し、最後に意見を述べられるダライ・ラマ法王。2016年9月9日、ベルギー、ブリュッセル(撮影:オリビエ・アダム)
「慈悲の心については、どんな人でも生まれた時から愛情を受けて育ってきたのですから、基本的に私たちには皆、慈悲を育む力が備わっています。タニア・シンガー博士が、慈悲の心を育むには順序があるかとお尋ねになりましたが、順序はあります。私たちはまず、すべての人に対する平等心を育むことから始めます」

「私たちは誰もが苦しみを望んでいないにも関わらず、自ら苦しみを生みだしています。この状況を変えるにはどうすればいいでしょうか。政府や大きな組織が変えてくれるのではありません。私たち一人ひとりが変えていくのです。心によき変容を起こし、内面の価値を高めることで、私たちは自分自身を変えることができます。それだけでなく、家族や社会にもいい影響を与えることができ、やがては人類全体に変化をもたらすことができるのです。そこで、まず自身の心によき変容をもたらすには、毎日慈悲の心を持って生活するべきです」

会議は明日も続き、精神的、宗教的な観点や経済的、社会的な観点からのプレゼンテーションが行なわれる。
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